犬用車椅子(ぺぺちゃんの車椅子)2006.3.14

2006.3.6 長野に住んでいるKさんから、オリジナリティあふれる、とてもカッコいいペペちゃんの車椅子情報のメールを頂きました。

地元のテレビ2回、ラジオ1回、新聞にも2回紹介されたそうなので、知っている人がいるかもしれませんが、もっと広く知っていただくために、このページで紹介します。

・とても丁寧なコメントをいただいたので、メールを抜粋します。

 

愛犬は3年半前にヘルニアと診断されたぺぺ(ビーグル系雑種メス10歳)です。

食べることより散歩が好きだったため直後のストレスは大変なもので、顔つきが見る見る変わってゆくのを見かねて、全くのゼロから車椅子を作り始めました。最初に作ったものは4輪に下半身を乗せるだけのもので、まっすぐ前に進むことさえできずに完成即廃棄、といった失敗と試行錯誤を繰り返し、画像のものは昨年11月完成の4台目の最新版です。孫用に友人から譲ってもらった子供用三輪車がベースです。3代目からこの形になり、1年365日毎朝1時間半、約3キロの散歩に付き合わされています。

ペペちゃんは、器用な飼い主さんに恵まれて幸せですね!!

正直、この写真を見たときに、どうやってペペちゃんの体に固定しているかわかりませんでした

(特徴)

1.悲壮感を払拭するため形はスポーティーに色は明るく。見た方からよく”かわいそう”と言われる経験からこちらの気分が暗くなるのが嫌で、できれば”かっこいい”とか”頑張って”と言ってもらえるように。

 

2.同じ考えから、できるだけパイプ類が目立たないよう体の下側(お腹側)を通す。足はブーツを履き、ネットの上。腰を浮かせる力は少しあるため。

 

3.トイレ付。

 

4.土地柄、冬場の積雪を考慮し、タイヤ幅はやや太め。ブレードを装着し、タイヤに付く雪を掻き落とす。

 

5.お尻が振れるのを吸収するためのバネ付き。全力疾走時の安定度が向上するとともにタイヤの減りが激減した。

 

6.重量はハーネス、バッグ等全て含んで約1.6kgです。

なんと、ペペちゃんの車椅子はスプリングサスペンションにトイレ完備です!!

下から写した写真で、ようやく構造が理解できました(汗)

 

ペペちゃんは、こんな段差も乗り越えちゃうんですね〜

・飼い主さんのコメント

1.基本的考え方

当初は、なんとか散歩をさせてあげたい一心でしたが、3年半の間に私地自身の気持ちにやや変化がありました。発病から2年程たった頃まで、2台目の歩行器を使って毎朝約4キロの散歩をしていたのですが、通りすがりの多くの方の反応はほとんどが「かわいそう」という同情でした。それはそれでもちろんうれしかったのですが、すでに歩行器を使った散歩が当たり前になっていて、なにか”違和感”を覚えだしました。人間の場合も一般の車椅子身障者の方に対してかわいそうと思っても、パラリンピックに参加する車椅子の選手達には、かわいそう、ではない全く別の感想を持たれるのではないでしょうか。例えばすごい、とかあんなこともできるんだ、とか場合によってはかっこいい、とか・・・。

そんな感情とは別に改良したい個所もいくつかあって、頭の中で構想を練っていましたが、具体的な形が思い当たりません。できるだけ固定せずに可動部分を多くしたい思いは、まだ完全に直る希望を捨てきれていない中で、一番の命題でした。そんな折、たまたま友人から孫にと譲ってもらった子供用中古三輪車を一目見て、閃いたのが現在の形です。そして、イメージは当然スポーツ用車椅子です!スポーティーな形で色は明るく、こちらの気分も楽しくなるように、そしてどちらかと言うとぺぺの動きからしてスポーツカーよりライトウェイト4X4車にしよう、が基本理念(!?)となりました。

このころ手許にあったものがこの三輪車と引っ張り犬の散歩用”ぺティオ”ハーネス(お腹部分にウレタンのついたもの)であったため、この2つがベースになりました。しつけをしていなかったぺぺは元気な頃は、とにかく散歩中はよく引っ張る犬で女房は苦労していて、このハーネスは2つも当家にころがっていたのです。この2つを、普段は見えないお腹側で連結させることは最初から決まりました。同じころ目にした〇〇洋行様のHPにある金属棒に囲まれた車椅子に悲壮感が感じられたためです。私にとってこの感情はすでに過去のものでしたから。

 

2.装備

 1)ハの字タイヤ・・・理由はよく分かりませんが人間用スポーツ型がそうなっていたから。いつも塀をこするように歩くので障害物の脱出に都合がよいのでは、と思ったのと直進安定性がよいのかな、と考えました。また、経験上結構タイヤが減るためホームセンターで3mmのゴム板を購入しタイヤに接着することにしました。スペアタイヤのみの入手方法が分からなかったこととホイール軽量化のための”肉抜き”が大変なために基本的にタイヤの交換はしないで済むようにしたためです。

 2)トイレ・・・我慢させる(躾る)ことは最初から考えませんでした。元気な時もそうだったからです。塗装用マスクの口あて部を利用。中に生理用ナプキン等を敷いています。ウンチは普段下がっているしっぽが上がる為すぐに判るので、コンビニ袋に取ってお腹脇のリストバンドを利用した袋に入れて持ち帰らせます。たまにウンチのやわらかい時などは2回するので左右2つ付いています。このトイレは自我自賛するほどの優れものです。

 3)バネ・・・三輪車のサドル下の2個を利用しシートとボディの間に装着。結構柔らかいバネなので体を支えるのがやっと位のちょうど良い硬さで、歩く際に左右に好きにお尻が振れます。すこしでもリハビリになるのでは、との思いからです。前部のハーネスもウレタンなので、上下左右かなり自由に身体を動かしていますのでこれは良かったと思います。

 4)ネット・・・自動車のシート背もたれ部後ろに付いていた物入れ用ネットを利用し足が主に納まる個所の下にゴムを装着しました。段差を乗り降りする際、ここが当たることによって、上る時は後方にひっくり返る力を抑え、下りる時は衝撃を和らげる作用をします。ネットの前方は固定せずスポーツショップにあったマジックテープで張っているだけですのでかなり自由度がある上、このテープ部が雨の日、前足が跳ね上げる泥除けの役にも立っています。

 5)除雪用ブレード・・・雪国では雪は厄介ものです。厳冬期はまだよいのですが、湿った雪はタイヤにくっつき、雪だるまのようになって回転を止めてしまうからです。いろいろ試しましたが妙案はなく、この冬このブレードを思いつき試したところ、これが大成功。アルミ製で重量は数グラムのため、せっかくの軽量化にもほとんど影響はありませんし、なによりも安価で、不用な時期は簡単に取り外せることがメリットです。この冬は長いこと悩んでいたのがウソのようでした。

 6)バッグ・・・トイレ用敷物のスペアを持たせています。たまの大ション便と草を食べた下痢ウンチ用です。

 7)ブーツ・・・既製品の黒 ネットに爪が絡むことの防止と足の裏がそっくり返っているのを見えなくするため。雨上がりなどの足の汚れ防止にも一役買っている。

 

3.データ

 1)重量・・・ハーネス部(バッグ含む)  320g   

           本体部 (全て装着時)   1340g

        (ぺぺ本人体重 12.5kg)

 2)散歩距離と時間

   雨の日も雪の日も毎朝約1〜1時間半 距離は2km以上いろいろで最大約4km  1日1回

ぺぺちゃんの車椅子姿は、とてもさまになってます。

 

これが、雪対策のブレードです。

私も素人考えで、北海道のワンちゃん用にスキーを取り付けることを考えたことがありますが、この方法の方が有効なんですね。スキーを取り付けた経験のコメントを読んで納得しました。

私が体験した雪対策を参考までに(あくまでも”長野市”の”ぺぺ”の場合)。

雪=スキーと誰もが思います。私も3号器(軽量化をしてない現行モデルと同一型)で様々なアタッチメントを試みましたが、その中にスキーがありました。タイヤの真中位置に地面から2cmくらい浮かせたスノーボ−ドアタッチメント(幅20cm)を付けたり、タイヤそのものにスキーを付けたりしましたが結局やめました。スキーは平らな踏み固めた雪でないとだめだということと、散歩のようにひとつ角を曲がるたびに路面が変わり、雪がないことさえあるような状況ではどんなに簡単に脱着できても、しきれるものではないことが判ったからです。ボードはある程度の効果がありましたが、後述するように除雪ブレードと言う根本的な方法論の変更がベストだと思い至ったためこれも止めました。

もともと対策が必要と感じた雪は2つで、1つは新雪、もうひとつはタイヤに張り付き回転を止めてしまう雪です。新雪で20cm超(ぺぺの前足高)のバージンスノーは、健常犬でも後ろ足で飛び跳ねるように進みますので根本的に無理です。前述スキーも試しましたが、先端が突っ込んでしまいダメでした。新雪のスキー滑降もかなりの後傾姿勢で先端を浮かせますのでこれと同じ理屈です。もっとも長さと幅をかなり大きくしトップの曲がりを長く採ると良いのかも。ボードも雪を抱え込んでしまい動けなくなりました。結局、身体まで達する新雪の中で遊ばせるならペペの場合は歩行器を外してやることが一番でした。これが冬場の楽しみのひとつになっていて、追いかけっこをすると吠えながら飛び跳ねて逃げ回ります。新雪でも、1人でも人の足跡があれば歩行は可能です。短い距離でしたらバージンスノーでも直前をラッセルしながら進むとちゃんと後をついてきます。足跡によってかなりの凹凸路面になりますが、柔らかい雪ですのでタイヤが適当に山を壊しながら前進でき、雪遊びと組み合わせるとこの時だけは2キロ程度の散歩で満足してくれます。

一番の難問はタイヤにくっ付く湿った雪でした。スキー等の他、ワックス塗布やタイヤにアルミ箔を張る方法も試しましたが、いずれも長い距離には対応できません。ようやくたどり着いたのがスノーブレードによって雪を削ぎ落とす方法でした。前方は削って鈍い刃にしてありますので身体の当たらない場所に取り付けてあります。試用中判ったことですが、それでもほんのわずかづつでも付着した雪が厚くなってブレードを押し上げますのでしっかりと固定する必要があります。薄いアルミ板ですと形状を変形させる程です。ただ、散歩中2〜3度、タイヤに張り付いた(むしろ凍りついた)雪を取ってやればそれでよいのですが。ステンレスなど別の金属も今後試してみます。

その他の雪道は全くなんの問題もありません。ミラーバーンだけは本人が滑ることを怖がってそこだけはなるべく避けてていますのでこれも対策は不要です。

いずれにせよ毎日のことですし、かつ様々なシーンに対応するにはあまり大げさな装備は重量という面からも無理がありますので、私が行き着いた結論は「タイヤが回ればなんとかなる」でした。

別途、厳寒時の路面は凍りついた凹凸がかなりひどく、これ自体歩行を困難にする訳ではありませんが、シート部のバネは結構歩行器の揺れを吸収してくれますので雪上歩行が多い場合は有効かもしれません。また、幅広タイヤも新雪時の沈み込みを抑えてくれます。夏用と冬用、2種類のタイヤの使い分けもしましたがそこまでは必要なく、結局(もともと付いていた)三輪車用の中間サイズに落ち着きました。

・私もKさんと同じで、車椅子に乗っているワンちゃんが可愛そうに見えない、「かっこいい」車椅子を作りたいと考えています。(みずほしゃんからデコチャリ部長に任命されているし・・・)

・とても貴重な車椅子情報を提供いただき、どうもありがとうございます。

・この車椅子をつくるには高度な加工技術が必要になると思います。でも、自分で車椅子を作ろうとしている人に何かヒントを与えてくれると思います。

・Kさんには、お礼にみずほしゃん作のデコチャリバッジを差し上げます〜